もしかして早漏?

早漏とは、性交前あるいは性交早期に射精してしまうために正常な性交ができない状態を指します。
成人男性の平均的な射精までの時間は5~7分と言われていますが、射精までの時間と満足度には個人差があるため、1分より短くても満足している場合や、長くても不満と感じる場合もあります。
そして大切なことは、早漏は生殖器の問題だではなく、脳を含めた身体全体の問題です。

鍼灸治療は、副作用のない早漏治療の選択肢として期待されています。ここでは早漏における鍼灸治療の4つの柱や、その具体的な治療方法についてわかりやすく解説します。

1 もしかして早漏? 早漏診断3つの定義(国際性機能学会(ISSM))

早漏とは、男性における性機能(射精)障害で、次の3つの診断基準を定義としています。
この定義に当てはまる方は早漏治療の対象である可能性があります。

  • 毎回、またはほぼ毎回、膣挿入前もしくは膣挿入後1分以内に射精してしまう
  • 全くまたは殆ど、膣内で射精するタイミングをコントロール(遅らせたり早めたり)できない
  • 性交に対して、本人やパートナーが精神的に悩み、負担を感じている

2 早漏の 3つのタイプ

早漏にはさまざまな要因がありますが、医学的に大きく分けると以下の3つのタイプに分類されます。
多くの場合は複数の要因が重なっており、一般的に「混合性早漏」が多いと考えられています。

  1. 陰茎や亀頭が過敏
    包茎の方は亀頭が包皮に覆われており亀頭が敏感なため、過敏性早漏が多い。
    過剰な感度による射精反射 感度は年齢を重ね、自慰行為や性行為、外部からの刺激を受け続けると落ち着いてくる。
  2. 内分泌障害
    セロトニンがドーパミンやノルアドレナリンを抑制し、勝手に射精しないよう制御している。
    脳内のセロトニンが不足することが早漏の原因になるといわれている。
  3. ED(勃起障害)を併発
    男性の約 30%で ED の併発が認められ、完全勃起の前に早期射精を起こす事があるといわれている。

3 問診、見立て、治療方針などの説明

①問診にて次のことを確認します

  • 身体的初見
  • 病歴(投薬の有無)
  • 勃起の確認
  • 射精のコントロールの程度(性行為・自慰行為)
  • 発症してからの経過期間
  • 本人やパートナーの精神的な苦痛の程度

②ED(勃起障害)なのか早漏(射精障害)なのか両方なのか、または他の問題なのかを見立てます

③治療方針や期間や行動療法をご提案します

  • 西洋医学、東洋医学に基づく症状の説明
  • 治療方針、期間の提案
  • 行動療法(射精コントロール方法など)の提案

4 早漏における鍼灸治療の4つの柱

1つ目の柱:自律神経の改善

自律神経は、心身のバランスを正常に保つ働きを持ち、勃起や射精機能に深く関わっています。
勃起と射精は性行為の中で行われるプロセスのため、両者のメカニズムは似ていると思われるかもしれませんが、勃起と射精は異なる神経系によって引き起こされています。
まず、性的刺激(中枢性勃起)や気持ちがリラックスしているときに働く「副交感神経」の影響により 勃起します。その後に、性行為時の性的興奮が高まることで「交感神経」が優位となり射精に至ります。つまり、勃起するためにはリラックスが必要とされ、射精するには適度な刺激と興奮が必要となります。 日頃の生活で自律神経の乱れがあると、勃起と射精がうまく行えず、結果として、ED や早漏、膣内射 精障害などの性機能の悩みにつながってきます。

早漏においては、過剰な刺激や緊張、興奮により交感神経が優位になり過ぎている可能性が考えられます。また、勃起中枢と射精中枢は別の部位に存在し、射精中枢のほうがより視床下部に近いため、交感神経 が優位になり緊張し過ぎると、視床下部が射精中枢を刺激し、勃起してすぐ射精してしまう状況になるといわれています。

鍼灸治療は、皮膚に刺激を与えることで交感神経と副交感神経の働きを調整し、自律神経のバランスを整えます。それにより精神的なストレスを軽減し、リラックス状態を促進します。

2つ目の柱:脳神経伝達物質(セロトニン)の改善

セロトニンは、脳内で神経伝達物質として機能する化学物質であり、気分や感情の調整に重要な役割を果たします。 セロトニンが不足すると、不安感が高まったり、イライラしたりするなどの精神症状や手足の震えなど の筋肉の症状、また汗をかいたり脈が速くなったりする自律神経症状が現れます。
またセロトニンは、消化器系や血小板、そして中枢神経系に存在し、さまざまな生理機能に関与しており、射精のコントロールにおいて重要な役割を果たす神経伝達物質です。セロトニンは、抑制性に働くので射精命令を抑制して、射精のタイミングをコントロールできるように なります。セロトニンの分泌量や感受性が低下すると、射精反射が過剰に反応し、射精を我慢することができなくなり、短い時間で射精してしまうといわれています。

鍼灸治療はセロトニン分泌の低下によって起こる不調にも効果的です。 鍼灸の刺激が、脳神経を活性化させ、神経反射に関与し中枢神経のセロトニンの分泌を正常な働きに改善させます。

3つ目の柱:経絡の流れの改善

東洋医学では、身体には「経絡」という気や血、水分といった物質やエネルギーの流れる12本の道があると考えられています。
経絡は五臓六腑といわれる内臓や、感情、筋肉などに繋がっています。病気は、経絡を流れる気・血・水分の流れやエネルギーの過不足・乱れが精神に影響していると考えています。 早漏に関して、乱れやすいと考えられる経絡は、「肝」や「腎」、「心」とされます。
例えば、肝は、「怒り」の精神作用と関係があり、肝に問題が起きるとイライラする感情が起こります。
また、肝は筋肉・血と関係があり生殖器を通っています。

そのため、経絡の気血の流れが滞ると性機能の障害を引き起こします。
乱れている経絡に鍼灸治療を施し経絡の流れを調整します。

4つ目の柱:骨盤底筋の強化

骨盤底筋とは、内臓を支える骨盤の底部に付着した部分で、恥骨から尾骨の間にある筋肉や靭帯と皮下組織から構成されているハンモック状の筋肉群を指します。
そして、骨盤底筋は勃起や射精に深く関係しています。勃起は、陰茎へ大量の血液が流入することによって起こります。この血流は、骨盤底筋の正常な機能によって調節されています。これらの筋肉が適切に働くことで、血液が陰茎の中にある海綿体に流れ込 み、女性の膣への挿入に十分な硬さとなる必要な量の血液を保持することができます。骨盤底筋が収縮すると、陰茎海綿体の根本が圧迫されて内圧が上昇により勃起が促進されます。この収縮は、勃起を維持するのに役立ちます。
つまり骨盤底筋が衰えると勃起の維持が難しくなります。射精は、性的興奮により射精中枢が刺激され射精命令を受け取り、精巣、精管、精嚢、前立腺が収縮して、精液が尿道へ送られ、骨盤底筋の収縮によって、蓄積された精液が陰茎の先からいきおいよく飛び出します。骨盤底筋の力とコントロールが射精の強度と射精までの時間を決定します。

ですから、骨盤底筋を強化することで、血液が陰茎の内部に効果的に保持されるため、より強く⾧く勃起を維持できるのです。
強化された骨盤底筋は、射精のタイミングをコントロールさせることができます。これにより、射精の勢いや快感を高められる上、早漏の改善に期待できます。
鍼灸治療は、骨盤底筋の障害について有効であるという研究結果が報告されています。

5 早漏における鍼灸治療のメリット

鍼灸治療は、東洋医学と西洋医学の両方から支持され、科学的にも証明された効果的な治療法です。自 律神経を整えることで、早漏の原因となる交感神経と副交感神経のバランスを改善し、身体全身の調和を取り戻します。

一口に早漏と言っても、人の身体は千差万別。私たちは一人一人に向き合い、お身体全体の状況を把握しながら丁寧に治療していきます。鍼灸は、安全に⾧期間利用できる治療法です。自然な方法で身体全身のバランスを整えるため、早漏だけでなく、お身体全体が改善します。
薬の副作用が心配な方、薬に頼らずに根本的な治療がしたい方にぴったりの治療です。

6 プライバシーへの配慮

当院の治療スペースは壁で仕切られた個室です。デリケートなお話ですからプライバシーへの配慮は十分気を遣って行っています。
人間の身体はとても繊細で、心と密接に繋がっています。恥ずかしがらずにお気軽にご相談ください。

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