瞼がふるえる・・・眼瞼痙攣・けい性斜頸(局所性ジストニア)

局所性ジストニアには目の周りの筋肉が痙攣する「眼瞼痙攣」、慢性的に持続する首の筋肉の収縮、または定期的で間欠的な首の筋肉の痙攣で、首が不自然な方向に曲がってしまう「けい性斜頸」などがあります。
目の周りや首周辺に発生する病気ですが目や首の病気ではなく、脳からの指令の問題です。

鍼灸治療は、副作用のない局所性ジストニア治療の選択肢として期待されています。
ここでは「眼瞼痙攣」や「けい性斜頸」に対する治療法の4つの柱、具体的な治療方法や効果についてわかりやすく解説します。

眼瞼痙攣・けい性斜頸(局所性ジストニア)

1 眼瞼痙攣・けい性斜頸とは、どんな病気?

局所性ジストニアには、眼の周りの筋肉がけいれんする「眼瞼痙攣」、首の筋肉が収縮し不自然に傾いてしまう「けい性斜頸」などがあります。

眼瞼けいれんでは、まばたきをしたり眼を閉じたりすることが制御できないという症状がみられます。
重度の場合は、眼を開けることができなくなります。疲労や明るい光、不安などによってけいれんが悪化することもあります。

けい性斜頸では、首の筋肉が収縮し、首が①回転(斜頸)②外側(側屈)③前方(前屈)④後方(後屈)など、通常より、ねじれた状態になります。
日常生活では平衡感覚などが失われたり、神経の圧迫による神経症状も併発します。
成人期に始まるタイプ(成人期発症のけい性斜頸、れん縮性斜頸とも言う)は、体の一部のみに現れるジストニアのうち、最も多くみらます。

2 考えられる原因は?

眼瞼けいれんの原因は多くの場合不明です。
男性よりも女性に多く、遺伝的要素もあります。眼の他の病気(疲労、さかさまつ毛、眼の異物、ドライアイなど)や、神経系の病気(パーキンソン病など)が原因になることがあります。
けい性斜頸はどの年齢でも発症しますが、通常は20~60歳、一般的には30~50歳で発症します。

通常、症状はゆっくり始まります。まれに突然始まり、急速に進行することもあります。
初めは頭を左右に振る「いいえ」と言っているかのような動作である場合があります。 首の一部の筋肉が、収縮したり、収縮してそのまま固定されたり、間欠的に収縮したりして、首がねじ曲がります。筋肉の収縮には痛みを伴うこともあります。頭が左右どちらかを向いたり、前方または後方にひきつられることがあります。片方の肩がもち上がることもあります。

症状は軽いものから重いものまで様々です。通常、けいれんは1~5年かけてゆっくり悪化し、その後横ばいになります。軽いけいれんや若年で発症したけいれんは、消失しやすい傾向があり、約10~20%の患者では、症状は出現から5年以内に自然消失します。
しかし、症状が生涯続くこともあり、その場合、頭、首、肩がゆがんだ位置にねじ曲がったまま固定されてしまい、運動が制限されます。

斜頸の原因は不明ですが、遺伝子変異によって引き起こされ、出生時から存在するもの、出生後の様々な神経疾患によるもの、ドパミンを遮断する薬によるものなどもあります。ストレスや感情の高まりによって、悪化することもあります。

3 病院では何をするの?

●眼瞼けいれんの治療では、軽度であれば、歌を歌う、鼻歌を歌う、まぶたに触れる、ガムをかむなどの単純な動作で症状が緩和することがあります。
それ以外の場合には、治療として眼の筋肉にA型ボツリヌス毒素を注射します。これによってけいれんを緩和したり予防したりすることができます。薬剤(不安の軽減のため)やサングラス(光過敏性緩和のため)が有用となりえます。
A型ボツリヌス毒素の注射が役に立たず、症状が重度の場合は、まぶたの筋肉を切除する手術が行われることもあります。

●けい性斜頸の治療では、まず理学療法士や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師によるリハビリテーションがあります。どのような動きをするとけいれんが悪化し、どのような動きをすると緩和するかを患者と協力して見つけます。バイオフィードバック法(心拍や筋緊張など、無意識の体内プロセスを制御するリラクゼーション法を用います)。マッサージなどの循環改善も併用します。けいれんを一時的に軽減するこつを患者自信が知っていることがあります。例えば、あご、頬、顔面の上部、または後頭部に軽く触れることなどです。こうした動作は通常、けいれんがない側で行った方がより効果的です。
心理的要因が関与する場合は、精神科医、心理士、神経科医なども連携します。
投薬としては、患部の筋肉にボツリヌス毒素を注射します。すると痛みを伴うけいれんが1~4カ月間軽減し、また頭部が正常な元の位置に近づきます。しかし、ボツリヌス毒素の効果は徐々に薄れてくるため、症状の緩和を持続させるには、3~4カ月毎に注射を繰り返さなければなりません。ボツリヌス毒素の副作用として麻痺が起こる可能性もあります。
特定の薬剤を経口投与することで効果が得られることもありますが、痙攣をコントロールできる患者は約25~33%にすぎません。抗コリン薬は、痙攣を軽減する効果を期待して投与されます。しかし、抗コリン薬には、他の厄介な副作用(錯乱、眠気、口腔乾燥など)があるため、使用が制限される可能性があります。
脳以外の部位に対する手術の役割については、議論があり、例えば侵された筋肉につながる神経を切断した結果、それらの神経は筋肉の収縮を促すことができなくなります。しかしこの処置を行うと、筋力が永久的に低下し、麻痺に至ることもあります。
症状が重く、通常の治療がすべて無効に終わった場合は、脳深部刺激療法を行うことがあります。この治療では、大脳基底核(筋肉の随意運動を開始し、その動きを滑らかにしている神経細胞の集まり)に小さな電極を外科的に埋め込みます。けい性斜頸を引き起こしている大脳基底核の特定の領域に電極から微弱な電気を送ることで、症状の軽減を促します。

4 こんな方がお越しになります

  • 真面目でデリケート
  • ストレスが多い
  • 自律神経失調の症状を伴う
    (睡眠障害・首肩こり・生理不順や生理痛(PMS)・うつ病など)
  • 病院へは行っていないが瞼のふるえが止まらない
  • 病院へは行っていないが首が傾いている気がする
  • 病院で眼瞼痙攣と診断された
  • 病院でけい性斜頸と診断された
  • 病院で処方された薬が効いている感じがしない
  • 薬や手術以外の方法で解決したい

5 眼瞼痙攣・けい性斜頸に対する治療 5つの柱

1つ目の柱:整体治療

どのような動きをするとけいれんが悪化し、どのような動きをすると緩和するかを患者と協力して見つけます。
バイオフィードバック法(心拍や筋緊張など、無意識の体内プロセスを制御するリラクゼーション法を用います)。マッサージなどの循環改善も併用します。

2つ目の柱:鍼灸治療(東洋医学的治療

自律神経のバランスを整え、筋肉の緊張を取り除くことで症状を改善します。また、全身の血流を改善して自然治癒力を高める効果も期待できます。

東洋医学では、身体のふるえは体内で作られた「風」の影響によるとあり、気滞ともいいます。
内風は五臓でいうところの「肝」との関係が深くなることから、肝関連の穴を多く使います。
肝はストレス(特に怒り)や不摂生で弱まることからアンガーコントロールや食事指導、日常生活の指導もいたします。
皮膚は自律神経のスイッチです。皮膚を鍼灸で刺激し、自律神経に効果的なツボを用います。
高齢者であれば、肝を補う「腎」が弱っているため、腎の穴も用います。

3つ目の柱:鍼灸治療(中国伝統医学的治療)

当院では東洋医学だけでなく、中国伝統医学に基づいて治療する治療者もおります。
中国伝統医学では振戦を「顫証」とし、「補肝腎養精血」・「調理脾胃」・「活血化瘀」の論治で穴を選び治療します。
東洋医学、中国伝統医学の両方の治療を交互に受け、効果を上げている例もあります。

4つ目の柱:酸素セラピー

酸素カプセルは高濃度酸素を細胞に直接届けるしくみです。細胞に栄養がいきわたり、自律神経が整います。
活性酸素除去装置「エアナジー+」で活性酸素を除去し、効果的にストレスを軽減することでさらに効果が上がります。

5つ目の柱:気功(八段錦)

気功(八段錦)とは、古くから中国に伝わる気功体操です。
当院では特にリハビリを意識して、動作を簡略化しました。8つの動作を自分の体調と「呼吸」に合わせてゆっくり行い、全身の筋肉を様々な方向や角度に伸縮させることにより、血液循環をよくし、コリをほぐし、内臓の働きを整えます。
自律神経を整えるためには特に「呼吸」を意識することが大切です。息を吸う時は身体全体内臓も全てを緊張させ、息を吐くときはゆったりと緩めます。治療と気功(八段錦)を合わせて行うことで更ふるえの止まる時間を持続することが期待できます。
気功(八段錦)は動画もあります できるだけご自宅でも毎日行っていただきます。

6 期待できる効果

  • 呼吸が深くなります
  • 肩こりなどの慢性の痛みが軽減します
  • 眠りが深くなります
  • 胃腸の調子が良くなります
  • やる気が出て気持ちが明るくなります
  • 患部が気にならなくなります
  • 痙攣や斜頸が徐々に治まります
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