本態性振戦とは、特に原因が見当たらないのに自分の意思に反して、勝手に身体の一部が規則正しくリズミカルにふるえる神経系の疾患です。
この振戦は、動作時でも、逆に何もしていない安静時でもおこります。
ここでは、ふるえに対する治療法の4つの柱、具体的な治療方法や効果についてわかりやすく解説します。
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「本態性振戦」2つのタイプと
当院の治療法の5つの柱を解説!
1 どんな病気?
本態性とは特に問題となる原因がないという意味です。
何かをしているからではなく、自分の意思に反して、勝手に身体の一部が規則正しくリズミカルにふるえる神経系の疾患で、最も多くみられるのは手のふるえです。また、頭、声、腕、脚などにもふるえが起こる場合があります。
症状はふるえのみで、痛みや痺れなど他の症状はありません。 加齢と共に進行し、高齢者のかなりの割合にみられ、40歳以上の25人に1人、65歳以上の5人に1人がかかると言われています。10代~30代にも見られます。
一般的に、本態性振戦のふるえは、発症から時間経過とともに増悪していく場合が多く見られます。ほっておいても大きな病気になる可能性はありませんが、ふるえがひどくなると日常生活に支障をきたすようになり、人に会うのが億劫になることもあります。 また、ふるえがでるほどの強い緊張が続くことは、様々な悪影響を身体全体に及ぼす可能性があります。緊張でリラックスできず睡眠の質が悪くなれば内臓の機能が落ちていくというように、長い目で見れば悪影響は計り知れません。
2 考えられる原因は?
本態性とは原因不明であるという意味ですから、原因不明のふるえとなります。根本的な原因は未だ分かっていません。
当院では、精神的な強い緊張が原因の一つであると考えます。精神的な強い緊張は、交感神経の働きが活発になり、ふるえが強まります。そういったことから、本態性振戦は「病気」ではなく「体質」という考え方もあります。親や兄弟が本態性振戦をもっている場合、子供にも症状が現れる確率はじゅうぶんにあり、遺伝的要素もあります。
強いストレスを受け続けると、大脳皮質・小脳・脳幹・視床などの領域に悪い影響が出る可能性があります。また長年飲み続けている薬物の副作用などが症状を悪化させる可能性も指摘されています。
更に加齢も本態性振戦の原因に関与することがあります。振戦は加齢とともに発症することが多く、加齢により症状が重くなります。これらは老人性振戦と呼ばれています。
3 病院では何をするの?
同じふるえでも甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、脳卒中、アルコール依存症、書痙、パーキンソン病などによる震えとの区別が必要です。病院では様々な検査をして、診断します。 本態性振戦と診断されると、ふるえの症状の重症度により、治療が異なります。日常生活動作に及ぼす支障が軽微な場合には薬物(β遮断薬、抗不安薬、抗てんかん薬)や経過観察が行われます。ふるえにより、書字や食事が困難になっている重症例では、視床の一部分を破壊することでふるえを止めることができます。
ふるえに対する手術には、視床の一部分を破壊または電気刺激する方法、ガンマナイフや集束超音波などにより切らずに視床破壊をする方法などがあります。薬物治療で十分な効果が出ない本態性振戦(手のふるえ)に対しては脳の手術が行われてきました。
現在は臨床研究の段階ですが、MRI誘導経頭蓋収束超音波治療というのがあります。これは手術ではなく、頭部外から脳に超音波をあてて切開などの手術なしに脳に治療を加えるという方法です。
4 こんな方がお越しになります
- 緊張すると手や腕や頭が震える
- 時々意に反して身体の一部が震える
- 病院で本態性振戦と診断された
- 病院で処方された薬が効いている感じがしない
- 外に出たり、人に会うのが億劫になってきた
- パーキンソン、バセドウ病、アルコールや薬物依存症、脳卒中ではない
5 ふるえに対する治療 5つの柱
1つ目の柱:鍼灸治療(東洋医学的治療)
本態性振戦は、主に指や手や腕などの上肢にでることがほとんどですが、頭、声、あるいは体全体であったり体幹であったりとさまざまな場所に影響を及ぼす神経系の障害です。
この振戦は、動作時でも、逆に何もしていない安静時でもおこります。当院では、主に自律神経の乱れや交感神経の過緊張が長期間続いていることが問題と考え、治療を行います。
東洋医学では、身体のふるえは体内で作られた「風」の影響によるとあり、気滞ともいいます。内風は五臓でいうところの「肝」との関係が深くなることから、肝関連の穴を多く使います。
肝はストレス(特に怒り)や不摂生で弱まることからアンガーコントロールや食事指導、日常生活の指導もいたします。
皮膚は自律神経のスイッチです。皮膚を鍼灸で刺激し、自律神経に効果的なツボを用います。高齢者であれば、肝を補う「腎」が弱っているため、腎の穴も用います。
2つ目の柱:鍼灸治療(中国伝統医学的治療)
当院では東洋医学だけでなく、中国伝統医学に基づいて治療する治療者もおります。中国伝統医学では振戦を「顫証」とし、「補肝腎養精血」・「調理脾胃」・「活血化瘀」の論治で穴を選び治療します。
東洋医学、中国伝統医学の両方の治療を交互に受け、効果を上げている例もあります。
3つ目の柱:整体治療
通常の鍼灸治療に加え、呼吸を深くするために整体治療を組み合わせることで更に効果が上がります。
呼吸にかかわる多数の筋肉が緩むことで、深い呼吸を得られると、細胞に栄養がいきわたり、自律神経が整い始めます。
4つ目の柱:酸素セラピー
酸素カプセルは高濃度酸素を細胞に直接届けるしくみです。細胞に栄養がいきわたり、自律神経が整います。
活性酸素除去装置「エアナジー+」で活性酸素を除去し、効果的にストレスを軽減することでさらに効果が上がります。
5つ目の柱:気功(八段錦)
気功(八段錦)とは、古くから中国に伝わる気功体操です。
当院では特にリハビリを意識して、動作を簡略化しました。8つの動作を自分の体調と「呼吸」に合わせてゆっくり行い、全身の筋肉を様々な方向や角度に伸縮させることにより、血液循環をよくし、コリをほぐし、内臓の働きを整えます。
自律神経を整えるためには特に「呼吸」を意識することが大切です。息を吸う時は身体全体内臓も全てを緊張させ、息を吐くときはゆったりと緩めます。治療と気功(八段錦)を合わせて行うことで更ふるえの止まる時間を持続することが期待できます。
気功(八段錦)は動画もあります できるだけご自宅でも毎日行っていただきます。
6 期待できる効果
- 呼吸が深くなります
- 肩こりなどの慢性の痛みが軽減します
- 眠りが深くなります
- 胃腸の調子が良くなります
- やる気が出て気持ちが明るくなります
- ふるえが徐々に治まります